書評No.004 デザイン経営のケーススタディー書『ジョナサン・アイブ』リーアンダー・ケイニー著

本書は、言わずと知れたAppleのデザイナー ジョナサン・アイブのデザイン哲学や人物像を綴っている。才能を発掘され、頭角を現し、トップデザイナーに成っていくストーリーからは、興味ある対象に真摯に向き合う大切さを教えられる。「神は細部に宿る」の言葉の力を再確認させられた。アイブを通したスティーブ・ジョブズの人物像も面白い。

また、本書ではアップルのデザイン経営の詳細が、アイブを通して垣間見える。例えば、デザイン経営の為の組織とはどうあるべきかといった疑問に対する回答のケーススタディーが、全編を通して記されており参考となる。

◼︎気になった言葉

・「作った人の気持ちが伝わったんだ」初めてマックを手にて

・「調査に時間をかければいい作品ができると思っているデザイナーもいる。私自身は常識と直感を信じている。ジョナサンのすごいところは、たちどころに要所をつかみ、若者にはめずらしいほど優雅で現実的でしかも細かい気配りのあるデザインを直感的に思いつくことだった」ウィーバー

・ジョニーはトレーニング(エクササイズ)を欠かさない

・「非公式プロジェクトから最高のアイデアが生まれることも多く、パラレルデザイン開発の価値は非常に大きかった。そこで得られた情報は、デザイン言語を豊かにしてくれるばかりか、『これが進むべき道だ』という方向性を示してくれた」ブルーナー

・ジョニーは、あるべきものを正しく作ること、それが目的にかなっていることをいつも気にかけていた。

・アップル内に「小さくコンパクトにまとまったスタジオを作りたかった。「大企業の中で、少人数のデザイン事務所のように運営できる組織を作りたかった。小規模で、優秀で、スピードがあって、才能にあふれ、豊かな文化のある組織を作りたかったんだ」ブルーナー

 →社内コンサルタントとして行動できるデザイナーが必要

・「デザイナーたちは、やってきたことすべてが歴史的なアーカイブになるだろうと思っていた。自分たちの作品はそれだけ重要だと確信していた」ジョニーのデザイングループはすべてを記録し続けている。

・「僕たちの目標は差別化じゃなくて、これから先も人に愛される製品を作ることだとわかってほしい。差別化はその結果なんだ」

・ANPP(Apple New Products Process):製品開発のチェックリスト

 全ての製品の各段階で全員がすべきことが事細かに描かれ、ハードウェア、ソフトウェア、オペレーション、財務、マーケティング、その上発売後の修理や問題処理までそれぞれの部署への指示が網羅されれている。

・「目に見えない部分に異常なまでに気を配ることが決め手になる。その細部へのこだわりが見過ごされがちなんだ」

・「絞り込むここと、機能をつけすぎないことが大切だった。なにができるかよりも、さまざまなものを取り除くことが鍵だった」

・「アイデアというものは、とても壊れやすい。だから大事に育ててあげないといけない」

・「スティーブは常に問い続けていました。『これでいいのか?これが正しいのか?』と」

iketep

シェアする

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

コメントする